2022.11.21
EVENT REPORT
本展では、CKRの3名が日本での仕事をする中で見出してきた「あいまい」という概念にインスピレーションを受け製作された計7枚のアートワークと、そのインスピレーションの源となった家具類が一同に集められ、日本のユニークな文化や言語から受けた「あいまいさの概念」を表現する試みとなった。展示されたアート7点のほか、本展に合わせて刊行されたビジュアルブック「CLAESSON KOIVISTO RUNE AIMAI」が販売され、建築やデザインに関心の高い人々の注目を集めた。
これに合わせてCKRの3名がスウェーデンより約3年ぶりに来日し、初日の10月22日(土)にはメディアおよび関係者向けのレセプションが行われた。再活性化プロジェクトを推進する平和不動産や兜町・茅場町周辺で働く人々、並びにCKRと長く親交のある建築・デザイン界の関係者がレセプションに参加し、いち早く展示を鑑賞したり、久しぶりのCKRとのダイレクトな会話を楽しんでいた。
レセプションの冒頭ではモーテン・クラーソンが代表して挨拶を行い、「私たちCKRは、常に人間の創作物である「建築」「デザイン」「芸術」の3分野に焦点をあててきました。主な活動は建築とデザインであることに変わりはありませんが、時には芸術作品に着手することもあります。建築やデザインと多くの点で関わりを持ちながらも、芸術は、それ自体が体験の対象であるという点で異なると考えています。芸術的なインスピレーションは、もちろん人生のあらゆることから受けられます。インスピレーションの源をあえて1つ挙げるとすれば、日本のユニークな文化なのではないでしょうか。私たちは、これまで30年にもわたり関わり続けている日本でのデザインワークで感じてきた日本特有の感覚、そして日本ならではの言葉「あいまい」というものを発見しました。漠然とした、不明瞭な、あやふやなといった意味を持ちますが、これまで感じてきた”境界線”を一気に取り払うことができ、一種のブレークスルーにもなった言葉でもあります。」
2021年、CKRは「あいまい」を記念したアート・ブリーフの制作を進め、7つのモチーフからなる作品集が完成した。色や形、大きさ、あいまいさなどを抽象的に表現した作品集としてとらえることが出来るが、それらの出発点は、CKRが日本でデザインしたもの、あるいはその細部や特徴に由来しているのです。
なお本展示会とレセプションの会場となったのは、メディアサーフコミュニケーションズが12月初旬に開業する予定の小規模複合施設「Keshiki」。この展示は同施設のB1Fにオープン予定の多目的スペースを使って、7日間限定で開催された。
2020年2月からいくつかのフェーズに分けて、再活性化プロジェクトが進められてきた兜町。12月には同施設Keshikiともう一つの飲食系複合施設も開業を控えており、さらに楽しみ方のバリエーションが増えていくのが楽しみだ。
Text : Kohei Okura
Photo : Naoto Date