jp

en

Omnipollos Tokyo
Omnipollos Tokyo

Omnipollos Tokyo

ローカル感と異国情緒と。新時代のパブフード

その「一皿」、「一杯」は、どのようにして生まれたのか。店のシグネチャーを紐解けば、シェフの感性や哲学、食材へのこだわり、生産者の姿勢まで見えてくる。料理の背景にあるストーリーから、兜町を形作る点と点が線になる。
スウェーデン発のクラフトビールブランドが手がけたアジア初の直営店である「Omnipollos Tokyo」が、「Dialogue of Food」の第6回に登場。ジャンクな美味しさの中に洒脱なこだわりが効いたパブフードと、ブランドの名物として世界的に名高いフローズンビールをフィーチャーする。

デザイン性の高いポップでサイケデリックなテイストと、日本らしい木造建築のムードが融合した佇まい。その刺激的な空間は、多彩な味わいのビールを楽しみに来る人々でいつも賑わっている。「ここで出すフードは、『Omnipollo』の本国チームとやりとりしながら決めています」と教えてくれたのは、この店舗のオープン時からブランディングマネージャーを務める澤本佑子さんだ。

「第一の条件は“ビールに合う”こと。でも、基本的にはとても自由にやらせてもらえています。“日本風の家屋を生かしたお店なので日本のローカルフードを!”という思いもあれば、“北欧っぽさを取り入れよう”という気持ちも。実はこれまでにもどて煮やたこ焼き、また冬季限定のおでんなど、本当にさまざまなものに挑戦してきました(笑)」

真の“この店らしさ”を探りながら提供されるメニューの数々は、不定期にてリニューアル。ひとつひとつの完成度が高いため定番化を望む声も多いものの、一方で台湾料理やベトナム料理などジャンルにとらわれない料理との積極的なコラボレーションイベントが、再訪のきっかけになったという人も。今回は、ビールに合うパブフードとして定番の2品を紹介してもらった。

●ホットドッグセット(チリモッツァ)
バーのホットプレートでじっくりと焼きあげてつくるホットドッグには、沖縄県のシャルキュトリーブランドである「Tesio」のソーセージを使用。チリとモッツァレラチーズを練りこんだソーセージは、沖縄県産の豚を使用しハンドメイドで丁寧に形成された逸品なのだとか。

「Tesioさんのプロダクトは臭みがなく、お肉のうまみがダイレクトに感じられるんです」と澤本さん。フレッシュな食感と口当たりのよい味わいは、キリッと冷えたビールとの相性抜群だ。また、マスタードには芥子屋四郎の「Naked Mustard」を使用。「非加熱のマスタードなので風味と食感がいいのと、うまみが抜群にあるんです。お肉のうまみも引き立ててくれる最高のマスタードですね」。

サイドにはコールスローと、ゴロッと大きめなフライドポテトを添えて。コールスローのほうはニンジンと赤タマネギ、セロリにハーブのディルを加え、さっぱりとしながら北欧らしさも感じる味わい。ポテトはブロック状にカットし、一度ふかしてから揚げることで、食べごたえたっぷりに仕上げている。

●フィッシュ&チップス
ビールに合うパブフードとして代表的なフィッシュ&チップスは、魚のセレクトにひと工夫が。従来はタラやヒラメなどが使われる料理だが、澤本さんによると「琵琶湖の環境保全活動をしている漁師さんから仕入れた、ニゴイやブラックバスを使用しています」とのこと。

「船上で血抜きし、神経締めすることで臭みが抑えられているそうです。タラ同様に肉厚でフワフワでありながら、身が締まっていて美味しい」。味や風味をまったく我慢する必要なく、地球環境のためにもプラスに働くパブフードは、ビールのお供の新たな選択肢になること請け合いだ。

添えられる2種のソースは、ハラペーニョピクルスを入れてピリ辛風味を加えたタルタルと、ミントやレモンを使いさっぱりと仕上げたマッシュピー。添えられるチップスはボリュームを重視しつつ、フライドフィッシュとマッチする柔らかな食感に。タイプの異なるソースで気分を変えながら、ドライ系やサワー系のビールとマッチさせるのがおすすめ。
(※ニゴイやブラックバスはその年や月によって獲れる量が異なるため、メニュー提供が一時休止になることもあるかもしれない、とのこと)

●フローズンビール
さて、サマーシーズンを中心に「Omnipollo」で特に欠かせないのが、キリッと冷えたフルーティなフローズンビールだ。なんとビールの上に、マシンに入れ凍らせてシャーベット状にしたビールをのせた新感覚のドリンクで、やみつきになってしまうファン多数。

「ある程度糖度の高いビールでないと固形にならないので、フローズンになっている銘柄はどれも甘め。『これもビール?』とびっくりされるかもしれません」と、澤本さんは話す。「Bianca Peach Vanilla Protein Shake(ビアンカ・ピーチバニラプロテインシェイク)」は、ピーチやバニラの甘さになんとプロテイン(大豆タンパク)を加えたもの。発酵に乳酸菌の力を借りた「ゴーゼ」というタイプのビールなのだとか。「Omnipolloのビアンカシリーズはフルーツを沢山入れていて、甘くてゴーゼとは思えないので珍しいかと思います」。デザートのような感覚でいただけて、後味はさっぱりと。

澤本さんいわく「フローズンマシンはすべての『Omnipollo』の店舗に設置されていて、フローズンビールはこのブランドの代名詞のようにもなっています。メニュー自体は通年で出していて、もともと『Omnipollo』を好きでいてくれている人にはたまらない一杯として愛されているんですよ」とのこと。フレーバーは定期的に入れ替わるのでぜひ注目を。

この日提供されていたもう1種類のフローズンビール、オレンジジュースのような見た目の「Tefnut Ice Lolly(テフヌト・アイスローリー)」は、見た目どおりオレンジやパイナップルのトロピカルなフレーバーで、海辺のリゾートにいるような気分を堪能できる。

「今後は新たなフードメニューの開発に加え、これらのビールの特性を生かしてデザートっぽく仕上げたスイーツメニューもつくりこんでみたいです」と話してくれた澤本さん。これからも「Omnipollo」では、足を運ぶたびに新たな発見がありそうだ。

Omnipollos Tokyo

澤本佑子

Yuko Sawamoto

東京都生まれ。2001年アメリカ・カリフォルニアに渡り、オーティス・カレッジ・オブ・アート・アンド・デザインでグラフィックデザインを学ぶ。帰国後はデザイン事務所などで働き、自由大学の焼酎学のキュレーターも務める。コワーキングスペース、みどり荘永田町の立ち上げ時から運営に携わった後、「Omnipollos Tokyo」で2020年のオープンからコミュニケーション・ブランディング・マネージャーを務めている。

Text : Misaki Yamashita

Photo : Naoto Date

Interview : Misaki Yamashita