ちょうど今から100年前の1923年に竣工した銀行建築をリノベーションし、2020年に開業した「K5」。地下1階と1階には個性的な飲食店が入り、2階〜4階はホテル客室が20室あり、近年の兜町・茅場町の盛り上がりの起点となった小規模複合施設です。

東京証券取引所の裏手、渋沢栄一にちなんで「渋沢ロード」と名付けられた裏道を奥の方まで歩んでいくと、重厚な石造りの建造物の中にバランスよく調和するダークグレーのエントランスが見えてきます。入ってすぐのフロントで明るいホテルスタッフと挨拶を交わし、オリジナルのブレンドティーを飲みながらゆったりチェックイン。

館内1階に入るcavemanでのディナーにも惹かれるけど、まだ早めの時刻なので兜町界隈に続々と集まってきている多種多様な飲食店を気ままにホッピングするのも洒落た夜になりそう。ホテルスタッフにお願いして兜町周辺のマップを入手すれば、お気に入りスポットを探しに足取り軽やかになるはずです。

K5 103-0026 東京都中央区日本橋兜町3-5

マップを見ながら夜の兜町を街歩き。足を踏み入れてみたいお店ばかりだけど、最近オープンした「景色／Keshiki」の1階にある「Pony Pasta」に。ここは、イギリス出身のシェフTimothy Mawn がパスタの生地を自ら作るこだわりのフレッシュパスタレストラン。店内にはカウンターとテーブルがあり、同じ館内にあるグリーンショップ「MOTH」の植栽が空間を包み込んでいる独特な雰囲気。この時間は暖かい色の照明と相まって、どこか家庭的で落ち着けるカジュアルなレストランです。

レジ横に設置された冷蔵庫には見たこともない斬新なクラフトビールが並び、ナチュラルワインも幅広く取り揃えています。気さくなスタッフに兜町のことをちょっと教えてもらいながら、アペタイザーやスープ、生パスタを楽しめば適度にお腹も落ち着き、気ままなホッピングの良いスタートを切れそうです。

Pony Pasta 103-0026 東京都中央区日本橋兜町6-5 兜町第6平和ビル 1F

パスタレストランを楽しんだ後は、もう少しだけワインが飲みたい気がして裏道を散策。連日満席のビストロ「Neki」の角を曲がると「Human Nature」が見つかります。高橋心一さんが代表を務めるこのワインショップは、2020年8月にオープンしてからファッション業界や音楽業界からも注目され、こじんまりとした店内には文化的でクリエイティブな人々が和気藹々と集います。

個性あふれる美味しいナチュラルワインを常時取り揃えているので、店内にあるワインセラーに入って気分に合いそうな一本を探してみるのもおすすめ。その場で抜栓してもらってグラス2杯ほどはショップ内で楽しみ、残った分はそのままボトルを持って「HOTEL K5」の部屋に帰るのが楽しそうです。

Human Nature 103-0026 東京都中央区日本橋兜町9-5

ナチュラルワインを飲みながらいろんな刺激を受け、ボトルを片手に夜風を感じながら「HOTEL K5」に戻る。夜11:00頃にもなると、フロント右手に見える隠し扉のようなドアの奥から楽しそうに談笑する声が聞こえてきます。

ここ「Ao」は、店名からは想像もつかない真っ赤なインテリアが際立つライブラリー・バー。ホテル宿泊者以外でも気軽に立ち寄れるサロンのような、書斎のような、独特な世界観が漂います。東洋のお茶やハーブ＆スパイスを使ったオリジナルカクテルのほか、最近はレモンサワーも登場し人気を博しているとのこと。就寝タイム前の1,2杯には最適です。

Ao 103-0026 東京都中央区日本橋兜町3-5 K5 1F

兜町の夜を満喫し昂っている気持ちを、いい塩梅に落ち着かせてくれるのは「HOTEL K5」。1階や地下1階とは打って変わっって静寂な空気に包まれた全20室からなり、特に4階フロアは天井の高さが4.5mとあってとても開放的です。ジュニアスイート以上のお部屋には、ターコイズブルーが程よく配色されたタイルが特徴的なバスタブ付きのバスルームが備わっています。ここで、持って帰ってきたワインボトルを再び飲み始めるのも良い夜となりそうです。

HOTEL K5 103-0026 東京都中央区日本橋兜町3-5 K5 2-4F

朝食はやっぱり「caveman」。大きな窓から差し込む朝の光と館内の植物が呼応して、日本橋兜町にいることを忘れてしまうような空気に包まれます。前衛的なディナーコースで注目を浴びる「caveman」だけど、ホテルゲストとウォークイン両者に対応している朝食メニューも要チェックです。

朝に提供しているのはフルブレックファースト。野菜は有機農家さんから旬のものをこまめに取り寄せ、ソーセージやサワードゥは自家製というほどこだわっていて、優しさあふれる朝食で最高の1日のスタートを切ることができます。食後のコーヒーは、同じフロアで隣接している「Switch Coffee」からタイミングを合わせて提供されます。

caveman, Switch Coffee 103-0026 東京都中央区日本橋兜町3-5 K5 1F

多彩な楽しみ方ができる夜の兜町。そして朝にはちゃんと爽やかな1日のスタートが待っていて、この街で1泊過ごせば、昨日までの自分と価値観がちょっと変わっていそうな。そんな可能性を感じる東京でのステイとなりそうです。